更新日:2021/03/17
日本の公的年金制度は、「国民皆年金」が特長です。これは、日本に住んでいる20歳以上の人は必ず公的年金制度に加入するということです。加入した人は、原則として保険料を納付することになります。保険料を納付することで年金を権利として受け取ることができます。
また公的年金では、おもにその人の職業で加入する制度が決まっています。自営業者や学生、専業主婦は国民年金に加入し、会社員・公務員は国民年金と厚生年金の2つの制度に加入します。
※平成27年10月以降、被用者年金一元化法の施行により、共済年金は厚生年金に統合されています。
※自営業者(第1号被保険者)に扶養される配偶者は、第1号被保険者になります。
若い世代にとって「年金は高齢者のもの」で、「入る気ないのに・・・。」「保険料払うのやだ、高い。」という声が聞こえてきそうです。「年金=老後のもの」というイメージしか浮かばない人も多いかもしれませんが、公的年金には障害年金や遺族年金という年金もあります。自分にもしものことがあった場合には、公的年金があれば自分や家族の生活を守ることができます。これらの年金は、高齢者よりも現役世代にとってニーズの高い年金といえるでしょう。
また、どんな人でも「としを取らない」という選択はできません。いつかは老後を迎え、仕事ができなくなったとき、公的年金があれば心強い収入となります。「そういうリスクは生命保険や個人年金に入っておけば大丈夫」と思う人もいるでしょう。
確かに、病気やケガ、老後の保障を生命保険や個人年金でカバーすることもできますが、公的年金の特徴の1つは「終身年金」という機能です。終身年金とは、「生きている限り支給される年金」という意味です。20歳になって公的年金に加入し、すぐに障害の状態になったとしても、障害の状態が続く限りはずっと年金を受け取ることができます。
また、老齢年金は「としを取った」ことで受け取れる年金なので(若返る人はいませんから)、1度受け取り始めればずっと受け取り続けることができます。
公的年金には、物価や賃金の伸びに応じて毎年の年金額が改定される仕組みがあり、これにより年金の実質価値が低下しないようにしています。(※)
公的年金は、現役世代の保険料を財源とする方式(賦課方式)をとっています。例え急激なインフレが発生したとしても現役世代の賃金に応じて保険料が徴収されるため、賃金上昇に合わせて年金水準を引き上げることが可能になります。すなわち、急激なインフレがあっても現役世代の賃金水準に応じた年金の支払いが可能となっています。
今の若い世代にはインフレは馴染みのないものかもしれませんが、長い一生の間に、どのような経済変動が起こるかは誰にも分かりません。このなかで、急激な経済変動にも強いことは、公的年金の大きなメリットとなっています。
※ただし、長期的に年金財政が均衡するまで、年金額の伸びを物価や賃金の伸びより、抑制することとなっています(マクロ経済スライド)。さらに、今後は賃金変動が物価変動を下回る場合には、賃金変動に合わせて年金額が改訂されることにもなっています。
「意外に使えるけど、保険料が高い・・・」と思う人も、保険料の「未納」は避けましょう。なぜなら、保険料が未納だと年金が受け取れる状態になっても、受け取る権利が認められない場合があるからです。公的年金は、保険料を納めていることが年金を受け取る条件の1つになります。「でも払えないものは払えない」とあきらめないでください。所得の低い場合、公的年金には保険料の免除や納付猶予という仕組みもあるのです。きちんと手続きしておけば、保険料を全部払っていなくても年金を受け取ることができます。
公的年金は保険料を負担する現役世代にとっても必要な制度です。まずはどんな制度なのかを知ることから始めましょう。