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更新日:2021/03/17

遺族年金とは?

遺族年金は、自分に「もしも」のことがあった場合、遺族に支給される死亡保障の年金です。遺族年金を受給するには、死亡した人と遺族がそれぞれに満たすべき要件があり、受給できる年金や金額も異なります。遺族年金とは、どのような年金なのかその仕組みをみていきましょう。

☆遺族基礎年金について

遺族年金にも、国民年金から支給される遺族基礎年金と厚生年金から支給される遺族厚生年金の2つがあります。はじめに国民年金から支給される遺族基礎年金についてみていきます。

●遺族基礎年金の受給要件

遺族基礎年金を受給するには、死亡した人・遺族に満たすべき要件があります。

1.死亡した本人が満たさなければならない要件

死亡時に、以下の要件のどちらかを満たしていることが必要です。

・国民年金に加入中(種別は問いません)で、死亡日の前日において死亡日の属する月の前々月までに保険料の未納期間が被保険者期間全体の3分の1未満であること。または死亡日の前日において死亡日の属する月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がないこと

・老齢基礎年金の受給資格を満たしている(保険料を納付した期間または保険料の免除や納付猶予を受けた期間が合計25年以上)こと(老齢基礎年金の受給者を含む)。

2.遺族が満たさなければならない要件

遺族基礎年金を受給できる遺族は、死亡した人に生計を維持されていた※配偶者と子どものみです。さらに、配偶者には18歳の年度末到達前の子どもがいること、子どもは18歳の年度末未到達であることが必要です。配偶者と子どもが遺族となった場合は、配偶者が受給者となります。なお、子どものいない配偶者や子どもの年齢が18歳の年度末を過ぎている場合は、遺族基礎年金を受給できる遺族になりません。

※「生計が維持されていた」とは、死亡した人と生計を同じくしていて、かつ年収が850万円未満であること。

●遺族基礎年金の受給額

配偶者が受給する遺族基礎年金は、年額781,700円(令和2年度額、以下同じ)に子どもの加算が上乗せされた年金額になります。2人目の子どもまでは1人につき224,900円、3人目以降の子どもは1人につき75,000円が加算されます。子ども1人のみが受給する遺族基礎年金は年額781,700円で、弟妹がいれば加算が上乗せされます。

☆遺族厚生年金について

次に、厚生年金から支給される遺族厚生年金についてみていきます。

●遺族厚生年金の受給要件

遺族基礎年金と同様、遺族厚生年金を受給するためには死亡した人・遺族が満たさなければならない要件があります。

1.死亡した本人が満たさなければならない要件

死亡時に、以下の要件のいずれかを1つを満たしていることが必要です。

・厚生年金の被保険者であること

・厚生年金の被保険者であった者で、厚生年金加入中に初診日がある病気やケガが原因で死亡し、かつ初診日から5年以内であること

・老齢厚生年金の受給資格を満たしていること(老齢厚生年金の受給者を含む)

・1級または2級の障害厚生年金の受給者

2.遺族が満たさなければならない要件

遺族厚生年金が受給できる遺族の範囲は遺族基礎年金よりも広く、死亡した人に生計を維持されていた(生計維持の要件は遺族基礎年金と同様)配偶者・子ども・父母・孫・祖父母までが対象となります。妻以外は年齢要件を満たす必要があり、受給できる遺族は優先順位の最も高い人になります。


※1 遺族基礎年金が受給できない夫は55歳以上で遺族厚生年金の受給権を取得するが、60歳まで支給停止される。遺族基礎年金を受給している夫は55歳以上60歳未満でも遺族厚生年金を受給することができる。
※2 遺族厚生年金の受給権を取得しても、60歳まで支給停止される。

なお、配偶者(妻・夫)と子どもは同順位ですが、ともに受給権者となった場合は子どもの遺族厚生年金が支給停止になります。

●遺族厚生年金の受給額

遺族厚生年金には、厚生年金の加入期間が比較的短期間だった場合に支給される短期要件の遺族厚生年金と老齢厚生年金の受給資格を満たしていた場合に支給される長期要件の2種類があります。短期要件の遺族厚生年金は、死亡時までの厚生年金の加入期間によって計算した老齢厚生年金の受給額の4分の3に相当する額ですが、死亡時までの加入期間が300月(25年)未満だった場合は、300月とみなして計算した額になります。長期要件の遺族厚生年金は、死亡した人の老齢厚生年金の4分の3相当額になります。なお、夫の死亡時に40歳以上であったことなど一定の要件を満たす妻が遺族厚生年金の受給者となった場合、65歳になるまで中高齢寡婦加算が上乗せされます。

☆遺族年金の失権

遺族年金は、受給者の年齢など他の年金とは異なる理由で受給権が失権します。最後に、受給者ごとでどのような場合に失権するのかをみていきます。

●配偶者

配偶者は遺族基礎年金と遺族厚生年金の受給者となる場合がありますが、どちらも再婚すると失権します。遺族基礎年金は、18歳の年度末未到達の子どもがいることが必要なので、すべての子どもが18歳の年度末を過ぎると失権します。なお、子どもが18歳の年度末を迎えていなくても、結婚すると成人したものとみなされ失権します。遺族厚生年金は、受給者が妻で受給権取得時に30歳未満かつ子どもがいない場合は、受給開始から5年で失権します。

●子ども・孫

子どもと孫は原則18歳の年度末に到達するか、18歳の年度末を迎える前に結婚すると失権します。また、父母や祖父母以外の養子となった場合も失権します。

「もしも」の場合に備えて生命保険の加入を検討する場合、自分の家族が遺族年金を受給できれば保険での備えを軽くすることができます。公的年金には自分の老後だけでなく、自分にもしものことがあった場合に残された家族の生活を支える役割があります。保険料の未納は自分の老後のリスクを高めるだけでなく、家族のリスクも高めるといえるでしょう。経済的に納付することが難しい場合は免除制度や納付猶予を利用しましょう。

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